2019年の女子ツアーで8回のトップ10フィニッシュを果たし、賞金ランキング19位で初シードを獲得した高橋彩華プロが、2020年シーズンから東芝の所属選手としてトーナメントに出場する。
高橋プロは昨シーズン、序盤戦10試合で予選通過が2試合のみと苦しい立ち上がりだったが、5月以降は予選通過が一気に増えた。このときの状況について、次のように振り返る。
「ずっとパターで苦しんでいましたが、そこが少しよくなったので、成績につながってきました」
その後は6月の宮里藍サントリーレディスオープンで初のトップ10入り(10位タイ)。翌週のニチレイレディスでは通算9アンダー単独首位で最終日を迎え、惜しくも鈴木愛プロにプレーオフで敗れたものの、単独2位になった。後半戦は勢いをさらに加速し、9月以降は12試合中6試合でトップ10入りを果たした。
年間38試合に出場し、5528万9178円の賞金を獲得した2019年シーズンを本人はどのように評価しているのだろうか。
「トップ10に入れる回数がけっこう多かったので、安定したゴルフを続けることができたのはよかったです」
一方で、上位に入る機会が増えたことで、新たな課題も見つかったと語る。
「やっぱり優勝争いしたときに、自分の気持ちがまだうまくコントロールできていないと感じたので、今年はそこを修正していけたらいいなと思います」
優勝を意識する大きなきっかけとなったのは、同世代の選手たちの活躍だった。1998年7月24日生まれの高橋プロと同学年は、女子プロゴルフ界で“黄金世代”と呼ばれている。2019年は河本結プロ、渋野日向子プロ、原英莉花プロ、小祝さくらプロ、淺井咲希プロの5人が初優勝を挙げ、39試合中12試合で“黄金世代”が勝利を手にした。
「同じ世代のみんなが活躍しているのは、すごく刺激になっています。『自分ももっと頑張ろう』と思いました。アマチュア時代から試合で会っていましたし、みんなうまいですから、いい友達ですけど、いいライバルでもあり、いつも刺激をもらっています」
その刺激を成長の糧に、2020年はどんな活躍をしたいと考えているのか。
「初優勝が一番の目標です。初優勝だけで終わらず、2勝、3勝と続けてできたらいいなと思います」
そのためにシーズンオフは入念に準備をしてきた。
「技術面で言うと、ショートゲームがまだまだなところが多くて、タイで約2週間の合宿を行い、アプローチを重点的に練習してきました。昨年よりもボギーが出にくいゴルフになったかなと思うので、今年はそこを生かして戦っていきたいです」
ところが、開幕戦のダイキンオーキッドレディスは新型コロナウイルス感染拡大の影響で開催中止。すると、第5戦のヤマハレディースオープン葛城まで立て続けに開催中止となってしまった(3月24日時点)。
「沖縄に入る前にJLPGA(日本女子プロゴルフ協会)さんからの通知で中止を知りまして、とても残念でしたが、中止が決まってからは地元の新潟でずっと練習しています。今年は雪がけっこう少なくて、3月から普通にゴルフができる状態なので、いつ試合が始まってもいいように、毎日を大事にするという心構えで過ごしています」
新型コロナウイルスが収束に向かい、試合が通常どおり開催されるようになったら、どんなプレーをファンの前で見せてくれるのだろうか。
「オフの間に磨いてきたショートゲームと、持ち味であるアイアンの切れ味をファンの皆さんに見ていただきたいです」
ちなみに、高橋プロの存在はゴルフファンの間で着実に広まっているが、名前の読み方を間違えている人がけっこう多い。彩華と書いて「さやか」と読むが、あやかと読み間違えられる。
「そこはもう、誰が見ても読み間違える字なので(笑)、しょうがないとは思っているんですけど、自分の活躍で名前を覚えてもらえるようになったときが『成長したな』と思えるので、『覚えてもらえるようにもっと頑張ろう』という気持ちになりますね」
目標にしている初優勝を手にして、2勝目、3勝目と続けた先には、高橋プロの名前もきっと日本中に知れ渡ることになるだろう。