東芝の所属選手として2020年シーズンを迎えた高橋彩華プロだが、今年は新型コロナウイルス感染拡大の影響で開幕戦が中止。その後も試合が立て続けに中止となり、初戦が6月下旬までずれ込む特殊なシーズンになっている。ここまでのプレーを振り返って、本人はどのように感じているのだろうか。
「今年は前半戦、試合がずっとなくて、試合が始まってからも自分の思ったような成績があまり出せていなくて、そこがちょっと悔しいですね。今年は全体的にかみ合わせが悪いといいますか、ショットの調子が少しよくなくて、パターも思ったように入っていないので、順位がいつも真ん中くらいで、今イチしっくりこないまま試合が消化されてしまっている感じです」
自分の思ったような成績が出せていない理由を本人は次のように分析している。
「試合の間隔が空き過ぎたというのが、たぶん一番の原因で、うまく調整しきれなかったかなと思います。試合が始まる前まで取り組んでいた課題が、いざ試合になるとうまく使いこなせないことがけっこう多くて、今は試合を通して出てきた課題に少しずつ取り組んでいます」
試合が始まってからどんな課題が出てきたのか。
「試合になると腕でクラブを振るクセがすごく出ているので、体で振るように直しています。昨年の後半はバランスよく振れていたんですけど、今年は右に行く日もあれば、左ばっかりの日もあったりして、微妙に荒れているんです」
ただ、ショットに関してはもう少しで感覚をつかめそうだという。
「徐々に手ごたえはつかんでいるんですけど、やっぱり難しいですね。でも、いったん感覚をつかめれば、それを続けるのは得意なので、本当にあと少しという感じです」
パットに関しては以前から最大の課題と認識しており、技術面だけではなくメンタル面からも強化を図っている。
「プロになる直前くらいからずっとパターが課題ですけど、メンタルが大半を占めているので、今はパターに対しての考え方などをいろんなところに学びに行ったりしています」
また、ショットとパットがかみ合わないことで、メンタル面で自分を追い込んでしまっていたことも気づいたという。
「昨年の後半はショットの調子がよくて、パターさえ入ってくれれば最終日にスコアを伸ばせていたので、優勝争いが毎回できていました。でも、今年は最終日に伸ばせなくて、止まってしまっている感じなので、そのときと比較しすぎて『昨年はあんなにできていたのに……』と思っていたんです。でも、今年はまだ試合が始まったばかりなので、『昨年の最初に比べたらマシかな』と思うようにしたら、気持ちが少しラクになりました」
昨年は序盤9試合中8試合で予選落ちを喫したが、10試合目のワールドレディスチャンピオンシップ サロンパスカップで13位タイに入ってから調子が上向き、最終的に38試合中8試合でトップ10フィニッシュを果たした。
それに比べれば、今年はアース・モンダミンカップから富士通レディースまでの9試合中7試合で予選通過を果たし、日本女子プロゴルフ選手権大会コニカミノルタ杯では9位タイに入っているので、決して悲観する成績ではない。
「私はスロースターターなので、試合に慣れるのに時間がかかっているところはあります。今年もだいぶ慣れてきましたが、もう終わりが目前なので、残り試合で絶対に1度はトップ10に入りたいです」
2020年シーズンは37試合中23試合が中止になったので、日本女子プロゴルフ協会は2020年度と2021年度を合わせて一つのシーズンとする開催方式に変更することを発表した。今後は2020年-2021年シーズンの開催試合数が34大会を超えた後に、リシャッフルして出場資格を決めることになっている。このことも本人は前向きにとらえている。
「今年はできる限り順位を上げておいて、来年は春先くらいからエンジンをかけていけたら、賞金ランキングを上げることができるかなと思います」
今年の残り試合はわずかとなってきたが、樋口久子 三菱電機レディスでは通算3アンダー8位タイに入り、今季2度目のトップ10フィニッシュ。調子は確実に上向いている。今後は冬のオフシーズンをはさんで2021年も長丁場のシーズンが続く。目の前の課題をしっかりと見据え、さらなる成長を目指す高橋プロの活躍に期待したい。